脳科学に裏付けられた読書法とは?精神科医 樺沢紫苑の「読んだら忘れない読書術」

精神科医である樺沢紫苑氏が、脳科学的な裏付けのある「読んだら忘れない読書術」を公開。また、「SNSの超プロ」としての立場からも、ソーシャルメディアを使いこなし、読書で得た知識をアウトプットする方法、人とシェアする方法などを明かす。
まとめる書籍

読んだら忘れない読書術
読んだら忘れない読書術
著者:樺沢紫苑 (サンマーク出版)
こうすれば、記憶に残すことができる!毎月30冊の読書をこなし、毎日40万人に情報発信!異色の精神科医が教える、脳科学に裏付けられた、本当に役立つ読書とは?


「読んでも忘れてしまう読書」はやめる

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「本を読んでも内容を忘れてしまう」という人は多いのではないでしょうか?

一般的な本であればおそらく、読書をするために1時間以上は時間をかけているはず。読んでいる最中も、「なるほどー」と思わず相槌を打ってしまいたくなるような文章に出会ったり、実生活の場で活かせるノウハウを発見したりしているかもしれません。それなのに、「内容を覚えていない」とは、なんとも勿体無い。

覚えていない、つまり「記憶」に残っていないということは、それは「知識」としてあなたの中に定着していないこと。もっといってしまえば、「その読書は何の役にも立っていないことと同じ」だと著者はいいます。

それでは、「読んだつもりにならない読書」、つまり「読んだら忘れない本物の読書」をするためにはどうすればいいのでしょうか。


10年たっても忘れない!脳科学に裏付けられた「記憶に残る読書術」とは

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「読んだら忘れない読書術」の一つに「三度目の正直読書術」という方法を本書では紹介されています。

この読書法の説明として、具体的にイメージしやすいのが「受験勉強」における英単語の暗記。私たちは中学校や高校でよく英単語の暗記をしましたが、多くの英単語を暗記できた人は決まって以下のような勉強法をされているはず。

それは、1回暗記したら、翌日に再度チェックし、さらに暗記した3日目にチェック。そして最初に暗記した日から1週間後にチェックする。この段階で覚えていると「暗記された」ということで、長期的にわたって記憶が定着した状態になるというもの。

様々な脳科学研究を集約すると、最も効果的な記憶術として「最初のインプットから、7〜10日以内に3〜4回アウトプットする」ということが明らかになっているそうです。脳が「重要な情報」として判断する基準は「何度も利用される情報」と「心が動いた出来事」なんだとか。

この脳科学の研究に基づいて著者が推奨している方法は、本を読んで「1週間に3回アウトプットする」という方法です。具体的に以下の4つのうち、3つの方法はすぐに実践できるものです。

①本を読みながら、メモをとる、マーカーでラインを引く
②本の内容を人に話す。本を人に勧める。
③本の感想や気づき、名言をFacebookやTwitterでシェアする。
④Facebookやメルマガに書評、レビューを書く。

1週間以内にこれらを行えば、やらないときと比べて圧倒的に記憶に残るそうです。

今はブログやSNSで手軽にシェアすることができますね。一番ハードルが低い方法は、読書した後はAmazonのレビュー欄にコメントを書くことを習慣にすることでしょうか。アウトプットする習慣を付けることができれば、本の内容が脳に定着するようです。


樺沢紫苑先生が語る記憶に残る「脳のメカニズム」とは

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私たちは日常的に起きる平凡な出来事のほとんどを忘れてしまいます。しかし、「何度も利用される情報」と「心が動いた出来事」は忘れにくいと先ほど紹介しました。ここでは、「心が動いた出来事」がなぜ忘れにくいのか、について、科学的な視点からまとめてみます。

科学的なデータによって記憶力のアップが確認されている脳内物質には、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、エンドルフィン、オキシトシンなどがあります。

アドレナリンノルアドレナリンは、不安、恐怖にともなって分泌される脳内物質。近親者やペットの死などに直面したときに分泌されます。虐待や災害など、強烈な恐怖を伴う体験が忘れられない「PTSD(心的外傷後ストレス傷害)」という病気がありますが、アドレナリンとノルアドレナリンが大量に分泌されることが原因だと脳科学的に説明されています。

身近な例でいくと、映画「リング」の貞子を初めて見たとき、みなさんアドレナリンとノルアドレナリンがたくさん分泌されたのではないでしょうか。

一方、幸福物質と呼ばれるドーパミンは、ワクワクしたときに分泌されるそうです。例えば、子どもが遠足前日にワクワクして眠れないのはドーパミンが出ているからというもの。

また、快楽物質エンドルフィンは「サイコー」「やったー」と全身で喜びを表現したいような最高の幸福感に包まれたときに分泌されているそうです。オリンピックの北島康介選手が「チョー気持ちいい!!」と言った姿がイメージできますね。

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恋愛物質オキシトシンは、愛情やスキンシップに関連して分泌されるものです。「昔付き合っていた彼のことが忘れられない・・・」というのはオキシトシンの影響なんだとか。

「何度も利用される情報」は忘れにくいということで、先ほどは「1週間に3回アウトプットする」という方法を紹介しました。さらに「心が動いた出来事」を上乗せして本を読めば、もっと記憶に定着しますね。

具体的には、読みたい本を探されるときに書店に立ち寄る事が多いと思いますが、直感的に「この本面白そう!」と思ったら、買ってから一気に読破するのがいいみたい。ワクワク感に伴ってドーパミンが分泌されている間に読みきれば、記憶に残りやすくなるそうです。


本を読めばあなたのストレスは解消されるかも?

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人間の悩み事というのは、だいたい共通しているもの。人間関係の悩み、仕事上の悩み、恋愛の悩み、金銭のトラブル、子どもの教育、成長の悩み、病気や健康に関する悩みなど・・・。こうした解決法は、ほとんどすべて既刊の本に書かれていると著者はいいます。

「いくら解決法を学んでも、実際に問題が解決されないと意味がないし、ストレスも減らないんじゃないか」と反論する人もいるかもしれません。

しかし、この考えが間違っていると脳科学的に証明できるそうです。これはおもしろい動物実験があります。
2つのゲージ(AとBとする)にそれぞれ1匹のマウスを入れて、そのマウスに電気ショックを与えます。Aのゲージにだけ、電気ショックを止めるレバーが付いています。そのレバーを踏むと、両方の電気ショックが止まる仕組みです。したがって、電気ショックを受ける回数、時間は、AとBのマウスは全く同じという前提です。

何度か電気ショックを与えると、Aのゲージのマウスは、電気ショックを止める方法を学習します。「レバーを自分で電気ショックを制御できるマウス(A)」と、何もできなくて、「ただ電気ショックにおびえるマウス(B)」では、どちらがストレスの影響を受けるでしょうか?

結果は、電気ショックを受ける回数や時間は全く同じであったにもかかわらず、何もできないマウス(B)のほうは、ストレスによって猛烈な早さで衰弱したそうです。

この実験結果によって、ストレスを受けた時間、回数は全く同じでも、苦痛を制御する方法を知っているだけで、不安とストレスを大きく軽減することがわかります。つまり、「どうしたらいいかわからない」状態が、最もストレスが強くなるということ。

対処法、解決法を調べて「なんとかなる」とわかっただけで、状況は改善していなくても、ストレスの大部分はなくなります。つまり、心配事があれば、「その対処法について書かれた本を一冊買ってきて読む」ということ著者は推奨しています。


著者である精神科医の樺沢紫苑さんは、「日本からうつ病患者、自殺者を減らしたい」という使命を持っておられます。そのため、普段の精神科の診療だけでは多くの人を救うことが難しいと考え、幅広く影響を与えることができる作家として執筆活動をされているそうです。さらに、ソーシャルメディアでも影響力を持つことを決め、今やメルマガ15万人、Facebook15万人、Twitter13万人に日々「精神医学、心理学、脳科学の知識、情報」を発信されています。

ホンビューは「著者と読者の橋渡しとなるメディアになる」という使命を持ってサービスを運営しております。著者が「届けたい」と思い描いている一人でも多くの方に、情報が届いて欲しいと考え、本記事にて著書を紹介させて頂きました。
「Amazonの図書館情報学カテゴリランキングで売れ筋1位」になっている本書。読んだら忘れない読書術を身に付けたいと考えれている方は参考にしてみてください。

著者紹介

樺沢紫苑
樺沢紫苑/Zion Kabasawa
精神科医、作家。札幌医科大学医学部卒。大学病院、総合病院、単科精神病院など北海道内の8病院に勤務。米国シカゴのイリノイ大学に3年間留学。うつ病、自殺についての研究に従事。帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。メールマガジン、Twitter、Facebookなどで、精神医学、心理学、脳科学の知識、情報を発信している。





紹介した書籍

読んだら忘れない読書術
読んだら忘れない読書術
著者:樺沢紫苑 (サンマーク出版)

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   Kindle版あり

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