ラーメン屋を繁盛店に変えるMBAとは?ビジネススクールでMBA取得者が学ぶ経営理論

「一見、単純なラーメン屋の経営だが、そこにはMBA的な視点で捉えると数えきれないほどの示唆に富んだストーリーがある。」

「なぜ、ラーメン屋の8割が3年で消えるのか?―事例でわかるMBA式経営入門」という著書から、なぜ潰れるラーメン屋が多いのか、どのような経営理論を活用すれば繁盛店に変えることができるのか、その内容についてまとめました。

著者紹介

なぜ、ラーメン屋の8割が3年で消えるのか?―事例でわかるMBA式経営入門
鴨志田 晃
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。ロンドン大学経営大学院IEP修了。MBA。博士(工学)(東京工業大学)。多数のeビジネス、金融ネット事業コンソーシアムを設立・運営。現在は大手企業、政府機関の戦略コンサルに従事。英国ケンブリッジ大学サービスアライアンス評議会委員。Service Science Editorial Board 委員。


なぜ脱サラ店主の8割が失敗するのか

jugem.cc

ラーメン屋という仕事に夢と希望を抱いて脱サラした人の8割が、3年以内に店の経営に失敗するというデータがあるそうです。

ラーメン業界の市場規模は2兆円、全国で4万店。新規開業するラーメン店は年間で4000店といわれていますが、それと同じ数の店が毎年閉店しているんだとか。

脱サラ店主の8割が失敗する理由としては、

・予想外に来客数が少なく売上が低くて、従業員のバイト代も払えなくなった
・店の改装や広告費など、予想外の出費が多くて経費が膨らんでしまった
・開店したら、近所にライバル店ができてお客をもっていかれた

などが理由に挙げられるそうです。
これらの失敗の原因は、「事業計画の詰めの甘さ」であると著者はいいます。


MBA取得者の著者から見る「ラーメン屋の経営者が考えるべき2つのこと」

pds.exblog.jp

ラーメン屋の店舗経営を担う経営者は、常に2つのことを考えなければならないといいます。
ひとつは、「マーケットを見る」こと。
そしてもうひとつは「投資を回収する」こと。

マーケットを見る」とは、マーケットを知ること、そして顧客を知ること。店舗経営でいうマーケットとは、お店を出す立地周辺の商圏を指すそうですが、「そこにどのような顧客がいるのか」「どのようなニーズがあるのか」を知っていなければなりません。

投資を回収する」とは、文字通り、店舗を回転するために投じた資金を回収すること。ラーメン屋を商売として経営しようと思えば、P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)は無論のこと、事業投資、投資回収といった「ファイナンス」の視点もまた重要。

店舗を軌道に乗せるためには、緻密な事業計画を立てることが必要。緻密な事業計画とは、投下した事業資金を原則3年程度で回収するための「売上」「コスト」「利益」の想定を入念に行う必要があると著者はいいます。


経営理論で考える「STP分析による店舗コンセプトの開発」

toyokeizai.net

次に大事なことは「コンセプト作り」と「マーケティング」だといいます。

ここで、マーケティング論でよく取り上げられるSTP分析の手法が用いられることが多いそうです。STPは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つの言葉のアルファベットの頭文字。このSTP分析とは、自社のどのような価値を誰に提供して効果的なマーケティングを行うかを分析する手法です。

例えば「スターバックス」の例で見ると、「『活きたコーヒー』を『第3の場所』でゆったりとくつろぎながら飲みたい」というニーズを持つ顧客層がいるマーケット・セグメントを見つけるということ。

そして、マーケット・セグメントとは、こうしたニーズを持つ顧客層が多数いる場所を客観的に示す問題として捉え直すことが必要だと著者はいいます。

例えば先ほどの「スターバックス」例で見ると、「オフィス街周辺で働く大卒のホワイトカラーの20代〜40代の女性」とセグメンテーションすることができるそうです。


経営理論で考える「リピート客を囲い込むために」

rocketnews24.com

店舗経営において大事なのがリピート客をどれだけ囲い込むことができるか。これには、「AIDMAの法則」を使うそうです。

「AIDMAの法則」とは、消費者が商品やサービスを認知してから購買に至る「購買行動」プロセスについての仮説で、Attention(認知) → Interest(興味) → Desire(欲求) → Memory(記憶) → Action(行動)までの購買に係る一連のプロセスの頭文字からきています。

このAIDMAの法則をラーメン屋に当てはめると、次のプロセスになります。

①顧客は店の存在を知っているか?(Attention
対策:フリーペーパーや折込広告、チラシ配布など

②顧客は店に興味をもったか?(Interest
対策:目玉商品を作る(「有機野菜たっぷりラーメン」「チャーシューどっさり麺」など)

③顧客は店に食べに来たいと思うか?(Desire)
対策:「開店サービス、1杯200円!」「ポイントを貯めて温泉に行こう!」など

④顧客は店に食べに来てくれるか?(Memory)
対策:割引券配布、ランチタイムに店前で誘導など

⑤顧客が店に来ない理由は何か?(Action)
対策:周辺に学生がたくさんいるが、価格設定が高くて入りにくいなどの原因を追求する

リピート客をどれだけ囲い込むことができるかが、安定した売上に繋がります。このように一つ一つ「購買プロセス」について仮説を立てながら検証していく作業が大切だといいます。


MBAを取ってもカビの生えた経営理論を学んでもしょうがない。理論と実践の双方をバランスよく学び、経営理論を実践に活かすスキルとナレッジこそが最も大切であると著者はいいます。
身近なラーメン屋の事例でMBA式経営入門が分かりやすく書かれている書籍です。




紹介した書籍

なぜ、ラーメン屋の8割が3年で消えるのか?―事例でわかるMBA式経営入門
なぜ、ラーメン屋の8割が3年で消えるのか?―事例でわかるMBA式経営入門
著者:鴨志田 晃 (ぱる出版)

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