住居選びの際には「自然災害」を必ず考慮にいれましょう
まず自分の身を守るためにも、私たちは自然災害大国に住んでいるという認識を持ち、住居を選ぶことから始めませんか?
著者:大木 裕子 (双葉社)
地震・津波・火山噴火・土石流…あなたを被災から遠ざける必携の1冊。住む家ではなく…
地球で起きた自然災害で亡くなった方の何%がどこで被災したか知っていますか?
自然災害で亡くなった方の28.3%※が日本で被災しているという事実があります。
世界全体の人口から考えると、日本の人口は約70分の1です。
いかに日本が災害大国であるか理解できる数字です。
そんな日本で住む私たちは一体どうすれば被災から身を守ることができるのでしょうか?
※内閣府の「防災白書」、WHOのEM-DATに収録された2011年〜2013年の数字から算出したものです
自然災害を考えると「あの街に住みたいな」は落とし穴?
住宅情報サイト「SUUMO」の住みたい街ランキング関東編で2010年から5年連続一位の街はどこの街かご存じですか?
そう、吉祥寺ですね。
他には恵比寿や横浜が常時ランクインしています。
そんな人気の街「吉祥寺」ですが、自然災害を考えると大きな落とし穴があるようです。
関東大震災以降急激な人口増加によって「宅地化」が推し進められ、周囲より緩い土地。
さらに緩いだけではなく、地下水位によっては液状化しやすく、地すべりを起こす危険性も高い地形のようです。
歴史を振り返り、「その土地の成り立ちを知る」と自然災害の耐性が分かるようです。
自然災害から身を守るため「絶対条件を満たす住みたい町」を見つける
それではどのようにして「住みたい」と思った街を調査すればよいのでしょうか。
調査には以下3ステップを推奨されています。
【ステップ1:地理院土地条件図で調べる】
インターネットを利用すれば、おおよその調査が可能。
信用のおけない情報も出回っていますので、「行政機関の調査結果」のみ参考とされることがオススメなんだとか。
国土交通省の国土地理院が発行している「電子国土WEB」というサイトがあります。
まずはこちらのサイトへアクセスし、現地に赴く前に参考にしてみてください。
【ステップ2:現場を歩いて確認する】
住みたい街の土地条件を調べて「十分だ!」と思った方も、実際に足を運んで周囲を歩いて確認されることが推奨されています。
特に土地条件の境界に位置する場所は、インターネットでは細部まで確認できない場所があるようです。
【ステップ3:耐震性の3つのポイントを確認する】
そして最後に住む物件の「耐震性」を確認しましょう。
耐震性を見るポイントは3つあります。
①いつの時代の建築基準に基づいて作られた建物なのか
②建物の基礎がしっかりしているか
③耐震設計(耐震、制震、免震など)
この3点のポイントを一つずつ具体的に解説していくと、本記事では収まりませんので「建築基準」「建物の基礎」「耐震設計」のキーワードでそれぞれ検索して、調べて頂くことを推奨します。
タワーマンション次から次へ。ベイエリアは住むべき土地?
オリンピック景気と言わんばかりに東京湾のベイエリアに乱開発ともいえるペースでタワーマンションが建ち並ぶようになりました。
最近埋め立てられた土地であれば、液状化対策は最新技術で行われています。
現に、東日本大震災であれだけの被害にあった浦安も、新しい埋めた土地ほど被害規模が小さかったことから、従来の技術で埋め立てられた土地と比較しても、液状化しにくい土地と言えるようです。
また、タワーマンションについても基礎は東京礫層(とうきょうれきそう)という固い地盤まで通しているため、より揺れを吸収する構造のマンションとなっているようです。
つまり、建物や地盤自体は心配するような話ではないといえそうです。
一方、津波の脅威については「本当に防潮堤だけでなんとかなるのか」という問いについては、東日本大震災を教訓とするなら疑問符が残ります。
東京湾は構造上、津波が入り込みにくいとされてはいますが、地震が起きてから「津波到達」まで、わずか数分でベイエリアの人が「安全な場所へ避難できるかどうか」は難しいかもしれないようです。
著者:大木 裕子 (双葉社)
Kindle版あり