世界最速1兆円企業シャオミ8つの視点
著者:陳 潤 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)
Google、Apple、Facebook、Amazonを超え、
わずか創業5年で売り上げ1兆円を達成した謎のIT企業のビジネスモデルと戦略。
創業わずか5年で年商1兆円突破
2010年に設立されたシャオミは、そのユニークなビジネスモデルで、変化の激しいモバイルインターネットの世界においても、信じ難いほどのスピードで発展している。
シャオミは、2011年10月の時点で9000万ドルの資金調達をし、このときの企業価値はすでに10億ドルを記録していた。あのGoogleですら7年、Facebookが6年かかって成し遂げた偉業を、シャオミは、わずか1年半あまりで達成したことになる。
2014年7月、創業者である雷軍(レイジュン)が公表したデータによると、「シャオミ1」シリーズは790万台、「シャオミ2」シリーズは1740万台、「シャオミ3」シリーズは1050万台、低価格帯シリーズである「ホンミ」は1800万台、「ホンミNote」は356万台の売上を記録した。
そして、2014年、ついにこの創業間もない企業は、サムスンを抜き、中国市場第1位に躍り出た。
売上についても、前年の2.4倍の1.4兆円に達した。創業わずか5年目で1兆円を突破したということになる。
このシャオミの創業である雷軍は、いかにして驚異的な発展をけん引してきたのか。
その1.チーム
その2.プロダクト
その3.イノベーション
その4.バリューチェーン
その5.ビジネスモデル
その6.マネジメント
その7.マーケティング
その8.ライバル
雷軍の思考の一端が垣間見える「フレーズ」をこの8項目に分けて紹介する。
その1.人材探しに70%以上の時間を割け
一切の妥協なく最高の人材を探さなければならない
チームについて
シャオミでは、社員は次の3つから報酬の受け取り方を選ぶことができる。
1.グローバル企業と同じ報酬
2.3分の2を報酬でもらい、3分の1を株で受け取る
3.3分の1を報酬でもらい、より多くを株で受け取る
8割の社員は、(2)を選ぶという。
その2.商品こそがメディアである
集中は極めて重要だ。1種類のスマホを世に出すからこそ、難しい。もし自信が持てなければ100種類になるし、自信があれば1種類でいい。
プロダクトについて
偉大な作品というのは、本来真似できないものだ。もし、シャオミが他の人に真似されたら、そのうちの製品がまだ不十分ということだ。
プロダクトについて
事前にユーザーが想定する期待値を超えるものは、必ず噂になるという。
焦点を絞り、細部に至るまで究極を追求する思考こそが、競争力を生み出すのである。
その3.固定観念を捨てろ。
イノベーションの真髄は、「創造する」ことにあり、決して「新しい」ことにあるのではない。世界を変えるような発明やイノベーションはすべて、「段階的な改良」から生まれた。
イノベーションについて
われわれの社会が失敗を受け入れない環境になるなら、イノベーションは続かない。
イノベーションについて
その4.何も持たない者が最も速く走ることができる
第一に、シャオミは工場を持たない。それゆえ、世界で最もいい工場を利用できる。
第二に、販売チャネルや小売店を持たない。それゆえにインターネットを通じた直接販売モデルを採用できる。
そして、さらに重要なのは3つ目だ。工場も小売店も持たないからこそ、すべての精力を製品の研究開発とユーザーとの交流に向けられる。バリューチェーンについて
ECはただのトレンドではない。インターネットの時代に生まれた、一歩進んだ販売方式なんだ。すべての中間利益を省き、その利益は直接ユーザーに還元できる。
バリューチェーンについて
その5.シャオミ = Apple + Google + Amazon
みんながちゃんと理解していないことがひとつだけある。携帯電話本体はただの「キャリア」だ。もしここがわからなければ、シャオミがどのような企業か理解することはできない。
ビジネスモデルについて
シャオミを外国の企業になぞらえるなら、Appleに近いと思う方もいるかもしれない。しかし、私は、シャオミはGoogle的要素を持ったAmazonだと考えている。
ビジネスモデルについて
その6.無駄な管理をなくせ。
1%のサボっている人を見つけ出すために、99%のちゃんとしている人の手間を増やすのは合理的ではない。すべての社員を信じよう。もしサボる人が混じっていても、それは認めよう。
マネジメントについて
責任感と経験を持つ人が一定数いれば、何を管理する必要があるのでしょう?
マネジメントについて
高度にフラット化したシャオミに、KPIは不要、タイムカードすら存在しないそうだ。
その7.商品を売るな。参加感を売れ。
最もヘビーなユーザーを満足させれば、他のユーザーを満足させることはたやすい。
マーケティングについて
旧来のメーカーは1台の携帯電話を売ると、それで商売が終わったと思っている。しかし、シャオミにとってはそれは商売のはじまりにすぎない。
マーケティングについて
旧来のメーカーは1台の携帯電話を売ると、それで商売が終わったと思っている。しかし、シャオミにとってはそれは商売のはじまりにすぎない。
その8.ライバルは自分を磨く石だ
みなさんわれわれから学んで、業界全体のインターネット化を進めてください。インターネット化というものはシャオミ一社ではなし得ません。われわれ全体の目標は『良質な商品と安い価格』です。業界全体がこう考えたら、消費者にとって、とても素晴らしいことだ。
ライバルについて
雷軍が40歳を迎えた2010年4月に設立された「シャオミ」が、いかにして「世界最速1兆円IT企業」を創りあげたか。その奇跡とも言える成長の秘密を解き明かした作品です。
紹介した書籍:シャオミ(Xiaomi) 世界最速1兆円IT企業の戦略