「左ハンドル国産車」が中古車販売だけではなく、新車販売も後押しする?

「左ハンドル国産車が日本を救う」
そう言われても何か突拍子もないことのように思われるかもしれません。「左側通行の日本では、自動車の右ハンドルが当たり前。それが左ハンドルになったからといって何がどう変わるというのか?」それは当然な疑問です。
本記事では「左ハンドル国産車が日本を救う」という書籍を元に、その疑問を解消する提言をまとめましたので紹介いたします。

まとめる書籍

左ハンドル国産車が日本を救う
左ハンドル国産車が日本を救う
著者:小森正智、小森正隆 (プレジデント社)
左ハンドル国産車は貿易自由化を最大限に活用して外貨を稼ぎ、日本は輝かしい「黄金の国」になれる!


中古市場でも高値で売れる車は「左ハンドル車」から生まれる

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近年、日本の自動車産業におていは「バリューチェーン(価値連鎖)としての車販売の考え方」が普及して、新車販売だけではなく、中古車買い取り等の強化も行われるようになってきました。
中古車売買においては、「車は廃棄されてるまでブランド名がついて回る」という考え方が大切です。

最近、中古車売買において日本で”新しい兆し”が見えてきています。
2010年12月にトヨタ・レクサス「LFA」が発売され、世界56カ国500台で限定発売されました。そのうち、日本国内では約200台が売られ、その価格は3750万円でした。そして2012年12月に完売。
その後、2014年にレクサス「LFA」のほとんどの中古車に4000万円以上の値が付けられていました。

このように最近では、日本車にも発売後に新車販売価格よりも中古車価格のほうが高くなる車が登場しています。
しかし、ここで頭に入れる必要があるのは「将来高値が期待できるのは左ハンドル車」という事実。
なぜなら、グローバル市場の顧客ボリュームの差が価格に反映されるからです。自動車は耐久消費財ですが、現在は日本で使用された車はすべて「グローバル相場商品の一面」を持っています。

日本国民は、規制によって国産車の左右ハンドルの選択肢が与えられていません。
すなわち、グローバルにおける中古市場規模が小さいために、高付加価値が期待できない「右ハンドル車」を無意識に購入させられているのです。


下取り中古車の販売力強化が新車市場を活性化する

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グローバル相場として「左ハンドルの国産車」であれば、市場規模が大きく、高付加価値が期待できます。
さらに、下取り中古車の販売力が強化されれば、新車販売強化にも繋がる可能性が高くなります。

世界の7割を占める左ハンドルの国へ輸出される「右ハンドルの中古車」は、純正部品を使わない最低価格の改造でも15〜30万円前後の費用をかけて「左ハンドル」へと大掛かりな改造されているそうです。
もし、国産車において”右か”左か”ハンドルの選択が自由になれば、左ハンドル国産車の下取り価格に「これまで行っていた大掛かりな改造の費用分」が上乗せされることにもなります。

さらに、重要なポイントは「日本で生産、使用されたという事実」は、中古車としての付加価値が上がること。これは同じ日本車でも、海外で中古車になった車ではなく、”日本で中古車になった車”でなくてはなりません。
なぜなら、日本の中古車は車検によって定期的に点検、整備され、品質評価が高いからです。
また、海外で使用された車両に比べて走行距離が短く、年に1万km未満の車が多いというデータもあります。

結果として、日本の中古車は価格が割安であり、中古車輸出需要の市場で競争力が世界ナンバーワンであることは、疑う余地はありません。TPPをはじめ貿易自由化の流れが加速すれば、一気にアジアの中古市場を専有できる可能性もあります。

日本国内でこれから左ハンドル国産車を所有している人は、購入価格と、下取り価格に差が限りなく小さくなることで、新車の買い替えペースを早くすることができます。国は税金を使わずして「新車販売促進」が可能となるのです。


「左ハンドル車」は左側通行だと危険なのか?

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ここでもっとも気になる点「左ハンドル車は、左側通行だと危険ではないのか」ということ。

通常、自動車のハンドル位置は、日本を含む「左側通行の国では右側」「右側通行の国では左側」が使用されています。これは、すれ違い時の安全性や右左折時、追い越し時などの視界を考慮した結果だとされています。
しかし、この考え方は起源をたどると、100年以上前の「車対車」の狭い道での考えで、当然ながら現在の日本の道路状況や交通事故の実態を踏まえたものではないようです。
また、郵便集荷車や高速道路清掃車などについては、利便上、左ハンドル車が認められてた事実もあります。

警察庁交通局の平成24年中の交通事故の発生状況によると、シートベルトとエアバックで完全防御された自動車に乗車中に起きた事故の7割は軽傷です。
一方で、交通事故死の7割が、車対歩行者や自転車、自動二輪の事故です。
左側通行における左ハンドル車のすれ違い時の安全性は、左より限界の道取りができるので、対向車との接触確率は著しく低くなります。
左折時は断然視界が良く、人や自転車の回避にも有利です。
右折時には、右ハンドル車に比べて左ハンドル車のほうが対向車線を走る直進車が近く感じるので、無理な距離での右折をしなくなります。

また、安全性については”事故件数”で考えるのか、”死者数”で考えるのかという問題もあります。現在の自動車は安全性に対しては「戦車化」しており、車対車に対してはよほど無茶な運転をしない限り死亡事故は起こりにくくなっています。
その結果、歩行者や自転車など交通弱者に対する事故防止に重点が移されていっています。車道と歩道の区別のない商店街の狭い道路では、左ハンドル車のほうが歩行者に近く、その存在がよく見えるため安心です。

つまり、日本の「左側通行+左ハンドル車」という環境は、交通弱者を強制的に運転者に確認しやすくさせ、巻き込み事故や接触事故を減らせる効果があると予測できます。


今こそ国産車は「左ハンドル車」へ

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自動車は耐久消費財だと誰もが思っています。
しかし、廃車まで乗らずに下取りに出して乗り換える場合の特性としては、株と同じ市場のニーズで価値が決まる相場商品の面もあります。

対象国が多いほど付加価値が上がる可能性も増大します。もちろん輸出国のハンドル規制をクリアすることが、最低条件になります。全車を左ハンドルにするのではなく、輸入中古車の左ハンドル車の需要分だけ左ハンドルにすればいいかも知れません。

世界一の中古車生産者は自動車メーカーではなく、新車から中古車までを最高の状態で使用する日本国民です。日本で中古車になった左ハンドルのベンツとBMWも、世界の中古車市場では需要があります。
競合国から見たら、「なぜ左ハンドルのベンツとBMWもを認めていて、世界的に莫大な需要がある左ハンドル国産車を禁止しているのだろう」と思っているはず。

世界中で扉を開いて待っている有望な市場があるのに、それを自ら閉ざしているのが今の日本の規制です。
自動車が新しい時代を迎えようとしている今こそ、グローバル市場をターゲットにした戦略を立案し、実行に向けた準備を始めるべきでしょう。


さらに詳細なシミュレーションを本書が徹底解説しています。
ご興味のある方は本書を参考にされてみてください。




紹介した書籍

左ハンドル国産車が日本を救う
左ハンドル国産車が日本を救う
著者:小森正智、小森正隆 (プレジデント社)

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ビジネス・経済 #中古車市場 #国産車 #左ハンドル


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