値上げをして利益を確保する方法 -「値上げの技術」まとめ
辻井啓作氏の著書「値上げの技術」から、お客が離れない値上げの方法をまとめました。
著者: 辻井啓作 (CCCメディアハウス)
値上げは、技術。あなたにも、できる。値下げ圧力、過当競争、外部環境の変化…それでも値段のしくみを知り、条件を整え、勇気を持って踏み切れば、会社も従業員も取引先もお客さんも幸せになれる!
▼目次
値段のメカニズムとは
値段のメカニズム①
・商品力=商品の価値÷商品の価格
・商品の値段は誰が見ても同じだが、商品の価値は見る人、場面などによって違う
・値段を下げずに商品力を高めるには、商品の価値を高く感じてもらうこと
値段のメカニズム②
・人は見たことがないものについては、そのものの価値から商品の正しい値段を推測しようとするが、実際にはほとんどの人が価値を正確に測ることができず、値段は推測できない
・次に類似のものから推測しようとするため、類似のものの値段の情報を集める
・それでも値段が推測できない場合は、逆に値段から品質を推測しようとする。ただし、値段から品質を推測したことを忘れ、品質を自分で判断したと思い込むことが多い
値段のメカニズム③
・業務用の材料の仕入れなど、買う立場の人が本当に価値を判断できる場合には、値上げはできない
・他所で売っている価格が知られている商品は、そのまま値上げすることはできない
・生鮮品、料理など厳密に同じものが存在しない商品や、提供者によって品質に差が出るサービスは値段が知られておらず、値上げしやすい
・値段が知られているものは、基本的に一番安いところで購入される
値段のメカニズムから見る値上げの方法
「お客さんが見たことがなく、値段がわからない商品やサービス」を値上げし、「値上げした商品やサービスの価値を高く感じてくれるお客さん」に販売する
次章から値上げの3ステップを紹介します。
1.値上げできる商品、サービスを選ぶ
2.値上げが受け入れられるように演出する
3.実際に値上げして販売する
ステップ①「値上げできる商品・サービスを選ぶ」
《ポイント1:お客さん目線で他所にないかどうか》
作っている人や売っている人が、他所の商品とはまったく違う商品だと考えても、お客さん見れば、その違いはわずかに過ぎず、同じような商品だと思われていることはよくあること。
《ポイント2:市場性があるかどうか》
最初の試し買いにつなげ、さらにリピートを得るには、その商品に売れるだけのニーズがあるかどうか判断が必要
《ポイント3:ちょっとした価値があるか》
「有名な料理人が監修した」「有名人が愛用している」「表彰された、賞をもらった」というのはお客さんに伝えるべき価値。価値はそれほど大きくなくても、十分に値上げすることは可能。
《ポイント4:「地域」基準の価値》
「地域」という観点を入れると、価値の幅が広がる。「地域で一番歴史がある」「地域で一番手間をかけて作っている」など。
《ポイント5:「弱点」という価値》
「日持ちがしない」という弱点は、「鮮度にこだわる」という価値に読み替えることができる
《ポイント6:商品の価値を作り出す》
「あの◯◯農場のこだわりトマトを使った〜」「通常の2倍の時間をかけて熟成させた」などのキャッチフレーズを付ける、販売単位を変えて個包装や小ロット売りにする
ステップ②「値上げが受け入れられるように演出する」
《ポイント1:商品演出の一番の基本は「商品名」》
サービスや、商品とサービスを組み合わせてパッケージ化した商品などの場合には、商品名をつけることがないがしろにされがち。形がなく目に見えないサービスにこそ、商品名を付けるべき。
《ポイント2:カネや手間がかかった見かけ》
値上げができるのは、「カネと手間がかかっていそうな外観」
→「日本酒の瓶を高級紙で包む」「水ようかんが竹筒に入っている」
《ポイント3:圧倒的な情報量》
情報を提供することで、お客さんの意識の中で商品の価値が高まる。
下記のどちらが高級なシャープペンシルに思うか。
→このシャープペンシルはいくら?
2.圧倒的な使いやすさから、大手の◯◯新聞の記者も使っている
→このシャープペンシルはいくら?
多くの商品やサービスは、単に味わったり着たり使ったりするのではなく、それに合わせて提供される情報を買い、消費している。
ステップ③「実際に値上げして販売する」
■商品別に値上げを考える
《価格差別で売るなら》
価格差別の効果を利用して売る、つまり売れ筋商品の高級バージョンとして値上げした新製品を発表し、お金に余裕のある人に打っていくのであれば、値上げ幅は強気で設定する
《商品やサービスのカテゴリーを変える》
新たなカテゴリーの商品になると、対象とするお客さんの層が変わるので、商品やサービスに対する価値のイメージも変わりやすく、値上げ幅を高く取りやすい
《定番を狙う》
定番というのは、会社や店にとって、中心となる多くのお客さんに繰り返し買ってもらう商品なので、それほど大幅な値上げはできない。
■商品の値段設定を考える
《すべてのお客さんを対象に値上げしない》
値段のわからない商品を用意して値上げし、それを買いたいとおもった人だけに売る
→商品の価値が判断できなくなると、人により感じる値段に大きな違いが生じてくるという性質がある
→「購買価格」×「買う人数」= 「粗利益」が最大値になる販売価格を設定すること。
例えば、購買価格が100円、買う人数が100人の場合、粗利益は1万円。
一方、購買価格が1500円、買う人数が20人の場合、粗利益は3万円になる。
つまり、買う人数が多ければ、より利益がでるとは限らない、購買決定価格の最大値を探すことが大事。
著者: 辻井啓作 (CCCメディアハウス)
Kindle版あり