神田昌典氏が語る”意識高い系”が実践している読書法
本記事では、この主張の背景と理由、今後実施するべきことについて触れていきます。
著者:神田 昌典 (PHP研究所)
クレイジーな時代を突破する、クレイジーな読書法。読み方をほんの少し変えるだけで人もお金も動き出す!
今も昔も「本を読む」重要性は変わらない
どんなビジネスパーソンも、仕事において、何らかの悩みを抱えています。
例えば、営業にも商品開発にもマーケティングにも共通する悩みは、売れる商品やサービスを見つけ出すことが難しくなったと買うこと。各家電メーカーが同じような機能をもったテレビや洗濯機を売っていても、どこも共存共栄で成り立っていた時代はとうの昔に過ぎ去りました。
「国内市場は飽和状態だ!」と海外に活路を見出そうとしますが、今度は強力な海外メーカーとの競争が待っています。そうした厳しい環境の中で、結果を求められたとき、新旧の経営理論やマーケティング手法、新たな発想を生み出すフレームワークなどが書かれた本を読むことは自然の流れでしょう。
コミュニケーションの問題も、多くの人の悩みであります。
終身雇用の時代は社内も社外も同じ人と長い間仕事をしていたので、ある程度”なあなあ”の関係になれましたが、終身雇用が崩れ、人材の流動性が高まった今の時代は、一緒に仕事をする人がコロコロと変わるようになっています。最近は、価値観の違う外国人スタッフと働くことも珍しくなくなりました。
このような状況では、どんな相手とも上手にコミュニケーションをとらなければ、質の高い仕事はできません。そのため、「話し方」や「メールの書き方」などの書籍を読み、コミュニケーションの精度を上げようと考える人が増えているのも事実です。
また、残業が許されない風潮の中、仕事を終わらせるためには、効率的な働き方を見つけ出すことが不可欠。そこで「手帳術」や「時間管理術」「整理整頓」などのテーマの本も売れています。
今の時代に必要なのは「知識創造」型の読書
このように、本の重要性は相変わらず変わってはいないものの、”意識の高い人”の本の読み方には変化が見られると著者はいいます。
それは、「知識創造」「価値創造」型の読書をする人が増えているということです。
その理由とは、
「世の中で付加価値を付けられる人のスキルセットが変化したこと」だと言います。
今の時代、「旧来型の読書」をしても評価されなくなっています。
この旧来型の読書とは、本に書いてる知識をしっかりと頭に入れ、それを必要なときに正しく迅速に引き出せるようにすること。
かつての知識人というのはこういう人でした。例えば、「マルクスの資本論」を読破して、その内容を正確に語れることさえできれば、大学教授や評論家として社会的地位を得ることができました。
さらには、ビジネスでもこういう人材が求められていました。
例えば、役所や銀行では、何よりも正確性を求められます。そのため、書いてることを記憶する能力のある人、例えば東大生などの受験エリートがもてはやされました。
ところが、その”正確な知識を提供する役目”は、今やコンピュータにとって変わられています。何かわからないことがあっても、ネットで検索すれば、すぐに情報が取り出せるようになりました。もはや、のどが渇いたら「水道の蛇口をひねって水を飲む」くらい簡単で、いつでもできることになっています。
このような時代背景を経て、代わりに求められるようになったのは、「知識の創造」「価値の創造」ができる人材です。
現代では、これまで誰も直面したことのない問題や課題が次々と発生しています。例えば、携帯電話がゲーム機のライバルになるなんて誰も思っていませんでした。
このような「問題の答え」を書いてある本なんてどこにもありません。求められるのは、「イノベーティブなアイデアや解決策を自らの頭で創造すること」「既成の常識の枠を超えて発想を生み出すこと」です。
正確な知識を提供する役目がなくなった今、そこにしか「自分の付加価値を創り出す方法はない」といっても過言ではありません。
「インフォメーション」から「エクスフォーメーション」へ
このような状況の変化は、「インフォメーション」から「エクスフォーメーション」への転換とも言い換えられると著者はいいます。
インフォメーションとは、外からの情報を受け入れて”自分の中”に認識を形創ること。
それに対して、エクスフォーメーションとは、自分の中にある認識を、”外へ”形創ること。
インフォメーションは、「世の中から求められる自分を創って行く行為」であるのに対し、エクスフォーメーションは「自分が求めている世の中を創っていく行為」ともいえます。
後者を常に意識した行動をとることが、これからの時代に求められていることです。
「知識創造」を身につける読書法とは
では、どうすれば知識や価値の創造ができるのでしょう?
知識の創造には、大きく分けると二つの段階があります。
第一段階は「情報の編集」、
「第二段階は「知識の創造」である、著者はいいます。
第一段階の「情報の編集」とは、世の中の情報から、正しい情報と間違った情報を見分け、編集したうえで発信すること。最近よく耳にする「キュレーション(目利き)」という言葉ですね。
ネットの登場によって、世の中に流れる情報量は爆発的に増えましたが、それらのほとんどは”信用出来ない情報”と言っても過言ではありません。マスメディアも、間違った情報を平気な顔をして流しているもの事実。
せっかく知識や価値を創造したとしても、その元となる情報が間違っていたら、その価値は失われてしまう。だから、最初に情報の見極めが必要です。
そして、第二段階が、「知識の創造」。
正しい情報を元に、行動しながら思索を重ね、イノベーティブなアイデアや知識を想像すること。
具体的には、これまで世の中になかった商品やサービス、斬新なマーケティング手法、画期的な製造技術やオペレーションなどを想像すること。そして、こうした様々な解決策によって、社会や会社の問題を解決していくこと。
実は「知識創造」は、まだまだ過渡期の段階にあると著者は言います。
実際のところ、ここまでインターネットによってスピーディーに情報が入手できるプラットフォームが整ったのは、ここ3、4年の話。まだまだ「知識創造」ができる訓練は積んでいる人は少ない。言い換えれば、知識創造ができるということは、これ以上にないほど大きな強みとなります。
それでは、どうしたら「知識の創造」ができるようになるかというと、『「知識創造」型の読書をする』ことを著者は推奨しています。
その方法としては、3つのシンプルな原則を実行すること。
1.目的志向型の読書をする
2.大勢の人と共に読む
3.即、行動に結びつける
以外に簡単なことだと思われるかもしれませんが、これらの3つを実施している人は、100人に1人もいないそうです。
これらの3つの原則を実行するのとしないのでは、「天と地ほどの差がつく」と言われています。
著者:神田 昌典 (PHP研究所)
Kindle版あり