あなたのコミュニケーション力をアップさせる3つの質問と改善策
こんなときは、どんなコミュニケーションを取ればいいのか?ケーススタディを紹介しながら、正しいコミュニケーションの方法をご紹介していきます。
著者:齋藤 孝 (東洋経済新報社)
自信をつけるキッカケは、話のネタよりもリアクション!お願いするとき、謝るとき、相談するとき、ほめるとき…人間関係で得するシンプルな法則。
問題①相手の本音を聞き出し方
好きな異性の本音を聞きたいとき、あなたならどちらの言い方が正解だと思いますか?
②「どちらかといえば、原因は◯◯ですか?」
日本人はマークシート問題に慣れすぎている?
問題の正解は②番です。
「相手の態度が煮え切らない」ということはよくあります。
食事に誘っても返事をのらりくらりと先延ばしされたり、交際を申し込んでも付き合う気があるのかないのか、曖昧な返事しかもらえなかったりと。
こういうとき、相手に思惑や悪意があるというより、実は相手自身も迷っていることが多いそうです。
特に日本人の場合、この傾向は顕著です。というのも、国際学力調査によると、日本人は基礎学力が高いわりに、記述式の問題に対して空欄率が高いという結果が出ています。おそらく、マークシート的な選択問題に慣れすぎたため、「自分で考えて回答する問題を面倒くさいと感じる」と考えられています。
こちらで選択肢を用意する
人から明確な回答を得ようと思うなら、取るべき対処法は1つ。
それは、回答しやすいよう、こちらで選択肢を用意するしかありません。
態度が煮え切らないのは、何か不安材料やモヤモヤしたものがあるため。「それが何か教えてほしい」と問い詰めることは、いわば記述式の回答を求めることに等しいため、失敗する可能性が高いのです。
そうであれば、思い当たる不安材料をこちらで列挙し、「原因はAですか、Bですか、それもとCですか」という尋ね方をしてみましょう。相手に、“気づき”を促すことで、核心に近づきやすくなります。
さらに、日本人ならでは奥ゆかしさを追加する
さらに、日本人相手ならではのコツが必要。
例えば、アンケートで「好き」「どちらでもない」「嫌い」という選択肢があった場合、日本人は圧倒的に「どちらでもない」を選択する傾向があります。
そのため、選択肢から「どちらでもない」という問いをなくすこと、これが1つ。
もう一つは、「どちらかというと」という枕詞を付けることがお勧めです。
そうすることで、相手はこの言葉の奥ゆかしさに安心して、心おきなく選択肢を選ぶことができるようになります。
問題②友だちとの距離の縮め方
友人と距離を縮めたいとき、あなたならどちらの接し方が正解だと思いますか?
②「ここだけの話なんだけど・・・」
「特ダネ」を利用する
これは簡単、正解②番です。
事件、事故の裏側、未発表のものをこっそり教えるよ、と言われると単純に好奇心が刺激されますよね?雑誌や新聞なら、そういう記事が載っているなら、お金を払ってでも読みたいと思うもの。
実は、私たちの日常会話でも「特ダネ」は大きな力を発揮します。
「特ダネ」はどうやって仕入れる?
といっても、記者のように事件、事故を追う必要はありません。日々意識していると、一部の人しか知らない情報に接することはよくあります。
例えば、仕事で薦めているプロジェクト、直面しているトラブル、社内で噂される人事など、日々アンテナを張っていれば、効果的な“リーク”として使えます。
抑えておきたいとっておきのフレーズ
そして、リーク情報をこっそり教える場合、必ず付け加える一言があります。
それは、「ここだけの話ですが・・・」です。
この言葉がないと、せっかくの情報をあっさり流されたり、「秘密をベラベラ話すダメなやつ」という印象にもなりかねません。しかし、「ここだけの話ですが・・・」と注釈しておくと、俄然特ダネ感が増します。
さらに、「あなただけに特別にお知らせします」「私もリスク覚悟でお知らせするので、どうかご内密に」というニュアンスになるため、言われる側も嬉しいもの。
「相手にとって特別な存在である」「秘密を共有している」という感覚は、双方の距離を急速に接近させる秘訣です。
問題③お悩み相談の受け方
友人から相談を受けたとき、あなたならどんな風に言葉をかけますか?
②「解決策はA、B、Cの3通りが考えられるよね」
解決策の提示より、まずは寄り添うこと
正解は①番です。
人に何かを相談するとき、その人が求めているのは合理的な解決方法ではありません。
それよりも、モヤモヤした感情を整理してくれる人、もしくは自分のなかでほぼ決めた解決方法を後押ししてくれる人を求めているのです。
その結果、「そうするのが一番いいということは、自分でもわかっていた」と相談者が納得できれば、相談は終ったも同然。なによりも重要なのは、まず感情面を落ち着かせること。それができて初めて、冷静な判断ができるようになります。
カウンセラー級の聞き上手になるための2つのコツ
先ほどのとおり、相手に相談されたときは、「こうすればいいじゃないか」と、気楽な立場で短絡的に結論を出すのはバツ。まずは、じっくり話を聞く姿勢をつくりましょう。
このときの、コツは大きく2つあります。
1.当人の「こだわり」や「意地」に着目すること。
合理的な観点でアドバイスをすることは、比較的簡単です。しかし人間には、傍から見れば不合理でしかない感情を持つことがよくあります。恋愛感情などはその典型。
そのために重要なのは、頭の良さや言葉の巧みさより、どれだけ相手の身になって考えられるか。つまりは、想像と共感が問われます。
2.新しい情報を提供すること。
「こだわり」や「意地」がわかれば、それを緩和することで心を楽にさせ、モヤモヤを整理することができるはず。それには、情報で視点を変えさせることが一番。
例えば、「取引先に言われた一言が気になって仕方ない」と悩んでいる同僚であれば、「え?取引先の◯◯さん、お前のこと褒めていたよ」などと言えば、気分はずっと軽くなります。
気休め程度にしかならないような言葉でも、「頭がモヤモヤして狭くなりがちな視野を広げる」という意味では、とても有効です。
人間関係、コミュニケーションにおいて重要な基本要素なので、ぜひ参考にしてみてください。