脱社畜の働き方。会社に支配されない4つの視点
著者:日野 瑛太郎 (技術評論社)
東大卒、起業、就職を経て、日本の労働の矛盾に気付いた「脱社畜ブログ」著者が本音で語る。
その1.しなくていい苦労は時間のムダ
「社畜の思考法」⇒ 若いうちの苦労は買ってでもする。
「脱社畜の思考法」⇒ 若いうちのしなくていい苦労は時間の無駄。(27ページ)
今までの日本の職場では、会社にはびこる理不尽を、グッとこらえて耐え忍ぶのが「社会人」のあるべき姿だと考えられてきた。
日本経済の調子がよかったころは、大部分の人はこういった「苦労という名の仕事ごっこ」の時間を過ごしさえいれば、会社も経済成長に合わせて大きくなって、給料の額も増えていったかもしれない。
でも、今の日本には昔のような驚異的な経済成長をする余地はない。
苦労さえしていれば、給料の額が増えていくような時代はおそらくもうこない。
その2.理不尽に耐えるのが仕事ではない
「社畜の思考法」⇒ 仕事とは、理不尽なことに耐えること。
「脱社畜の思考法」⇒ 仕事とは、価値を生み出すこと。(26ページ)
理不尽なことに耐えることと、価値を生み出すことには何ら関係がない。
理不尽なことに耐えたからといって、価値が生まれるわけではない。
前提として、会社の売上は、会社の活動によって何らかの「価値」が生み出され、それがお金に変わっているということを認識しなければならない。
つまり、理不尽なことと一切無縁でも、価値さえ意味出すことができれば堂々と給料をもらってよい。
辛いことに必死に我慢したとしても、価値を生み出すことができなければ、会社は儲からず、社員の給料も払えなくなる。仕事を無理に辛いものと捉えたところで会社も社員も、どちらも別に得することはない。
その3.日本発「社会人」という不思議な言葉
「社畜の思考法」”社会人”としての自覚に欠ける行動は慎むように気をつける。
「脱社畜の思考法」⇒ “社会人”という言葉が出てきたら鵜呑みにせずに「社畜」と置換え警戒する。(42ページ)
「社会人」という言葉が職場で理不尽を強要するための便利なテンプレート表現として使われている。例えば、「社会人なら◯◯して当然」、「◯◯ができないやつは社会人失格」とか。
この言葉を利用して、理不尽を強要するフレーズを作ってみる。
次にこのフレーズの「社会人」を「社畜」に置き換えてみる。
会社側が「社会人」という言葉を持ち出すときは、基本的に会社に都合のいいように、言われるがままに振る舞って欲しいとき。会社で「社会人」を使ったテンプレート表現が出たときは、「社会人」を「社畜」に置き換えてみよう。
その4.休むことのハードルを下げる
「社畜の思考法」⇒同僚の有給取得を、妬ましく思う。
「脱社畜の思考法」⇒同僚が有給を取るときは、笑顔で送り出す(55ページ)
日本人の有給休暇の取得率は非常に低い。
調査会社が2010年に出した結果では、日本で有給休暇を使い切る労働者の割合は33%、3人に1人しか有給を全消化していない。諸外国と比較してダントツに最下位だった。
日本人はどこかで「休むこと」=「悪いこと」というように考えてしまっているのではないか。
学校では皆勤賞を必要以上に褒め称えたりする。
誰かが有給取得を願い出たら、絶対に嫌な顔をすべてきでない。笑顔で送り出してやるべきだ。そうすれば、今度は自分が休みたいときにも、笑顔で送り出してもらえるようになる。
日本の会社には、そういったよいサイクルが必要である。