被害総額4,000億円!?「あやしい投資話」に乗ってみた実録レポートをご紹介
でも、けっこう儲かるらしい。
とはいえ、やっぱり怖い。
「あやしい投資話に乗ってみた」という書籍は、そんな投資話に実際に飛び込んだ著者の実録レポートです。
その中から、あやしい投資話「和牛オーナー制度」の実録レポートをまとめましたのでご紹介します。
著者:藤原 久敏 (彩図社)
未公開株に和牛オーナー、海外ファンドに先物取引…こういった投資に対して、皆さんが持っているイメージだと思います。そして、そんなあやしい…
あやしい投資話「和牛オーナー」って何?
和牛オーナーといっても、オイシイお肉を手に入れることが目的ではありません。和牛オーナー制度とは、あくまでも利殖商品です。目的はお金を増やすこと。
まずは、この「和牛オーナー制度」の契約の流れを説明します。
①牧場から、繁殖牛を購入
②繁殖を目的として、牧場がその牛を預かり、飼養する
③その牛が出産した子牛を、牧場に買い取ってもらう
④契約期間満了後には、牧場に、繁殖牛を買い戻してもらう(購入額と同額)
今から10年近く前、こんな内容の「和牛オーナー募集」の広告があるマネー雑誌に掲載されていたそうです。
❝1口30万円で年間9,000円の配当
2年後には、元金変換
今なら、高級肉をプレゼント❞
あまりにも条件が良すぎますよね?
30万円で9,000円、3%もの利回りって・・・
少ない資金で憧れの「和牛オーナー」に
著者が契約したのは30万円コース。
その場合は、子牛の売却予定代金は年間5万9,000円です。
ただ、飼養委託費が年間5万円かかるので、差し引き9,000円が配当として、毎年受け取れる仕組みだったそうです。
そして、2年後に、最初に購入した繁殖牛を、30万円で買い取ってもらうというもの。
牛価格の変動や、牛の健康など、いろいろとリスクは抱えているはずですが、はたして、予定通りいくのでしょうか?
和牛オーナー史上、最大の倒産劇へ・・・
著者は2年間「和牛オーナー」となっていたそうです。オーナーになってから、配当金は遅延なく毎年振り込まれ、満期で30万はきちんと戻ってくる・・・
初めは心配していましたが、この投資話にすっかり安心し、投資金額は総額100万円ほどに積み上がったそうです。
しかし、ある日届いた「オーナー特典」の案内パンフレットを見ると、特典内容がだんだん豪華になっていき、お肉以外の「果物」や「商品券」が特典として掲載されるように・・・
さらに30万円コースの配当金が9,000円から11,000円にアップしていたそうです。
疑問に感じた著者はそこから、運営会社について片っ端から経営状態を調べました。
すると、売上の多くが出荷牛の売上ではなく、「オーナー契約金」だったということに気づいたそうです。
その事実に気づいてから、約半年後に運営会社は破綻。この和牛オーナーを募集していた運営会社は「安愚楽牧場」といい、これは和牛オーナー史上、最大の倒産劇となったそうです。被害者数は7万人を超え、被害総額は4,000億円超の「戦後最大級の詐欺事件」ともいわれています。
この安愚楽牧場の破綻は、社会的にも非常に大きな話題となったので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
著者は破綻する前に運良く切り抜け、被害を免れたそうです。
高配当・豪華プレゼントを謳う利殖商品はやっぱり怪しい?
著者はオーナー特典が年々豪華になっていくことに疑問を持ち、タイミング的に運良く資金を引き揚げることができました。
豪華賞品、高配当をぶら下げ、オーナーから資金を集める手口は銀行からお金を借りられない事情があるためです。自転車操業の運営会社に有りがちな特徴のようです。
オーナー制度は、大きく分けて2種類あるといいます。
ひとつは、オーナー制度を利用した利殖商品。今回の安愚楽牧場のように、オーナー制度を利用して、預貯金ではあり得ない高配当を謳うタイプです。ただ、それらの多くは詐欺まがいと言われているのも事実。
もうひとつは、純粋なオーナー制度。利殖商品ではなく、配当はお金ではなく、収穫(飼育)された商品そのものであることがほとんどです。和牛以外にも、豚、真珠、アワビ、みかん、ワイン、田んぼ・・・など、実に多くの種類があります。
著者の経験から、利殖商品ではなく、純粋なオーナー制度への投資が健全だと言えますね。
本書では「未公開株」「新規公開株」「海外ファンド」「超金利銀行」「FX新興国通貨」「先物取引」についても、実際の実録レポートが掲載されています。興味のあるワードがあれば実際に本書を参考にしてみてください。この本を読めば、あなたがこの先痛い目に会わずに済むかもしれません・・・
著者:藤原 久敏 (彩図社)